2012年03月13日

四万川リハビリテーション6〜温泉とダム〜

四万川ダムのパンフレットをお持ちの方は、お手数ですが表紙をめくって頂きたい。
お持ちでない方は、よければ群馬県四万川ダム←このリンクを見て頂きたい。
(そして目次から「ダムの概要(諸元と図面)」に進み、さらに「四万川流域概要図」をご覧頂きたい)
その図面はダムの集水域や高水基準点(平たく言うと、ダムより下流に設定された観測点で、氾濫を起こさず安全に川の水を流せる限界の数字を設定した地点。その数字以下に水位を保てるように水量を調節するのが治水を目的に持つダムの役割だと思って下さい)などが記載された地図があるはずです。
web上の概要図だと何故か凡例が中途半端なのですが、図の上方、四万川ダム湖を示すブルーの直下に赤い三角があります。これが四万川ダム本体(堤体)ですが、見ていただきたいのはそのすぐ下流。
茶色く縁どられた細長い地域があるのがお解りでしょうか?
パンフレットにはきちんと凡例が記載されていますが、これが四万川の洪水氾濫区域で、これは四万温泉街にほぼ一致します。
洪水氾濫区域の最下流は「嘉満ケ淵基準点」という記載があるかと思いますが、ここは「四万川リハビリテーション4」で紹介した四万取水堰堤のすぐ下流にあります。
つまり、温泉最下流の温泉口地区に至るまですべてが洪水氾濫区域なのが四万温泉なのです。

四万温泉になにかその痕跡はないか探してみたところ、このようなものを見つけました。

「四万温泉」というキーワードで検索すると、宿で一番目にHITするのは「積善館」でした。
二番目にHITしたのが「四万やまぐち館」というところですが、このやまぐち館には「題目露天風呂」というお風呂があります。
やまぐち館はその名の通り、四万温泉山口地区にあります。創業は古く、江戸延宝年間(1673〜1681)といわれます。
この宿も川沿いにあり、幾度も四万川の氾濫を経験しているのですが、実はこの宿の建物本体は洪水被害を受けたことがないのだとか。
その理由になったのが「題目露天風呂」にある大岩なのだとか。
四万川にせり出したこの大岩に荒れ狂う水が当たり、ちょうど川がカーブを描く場所にあることも幸いし、
建物の被害は免れたということのようです。
近年の改修時、宿を守り続けたこの岩を供養するために南無妙法蓮華経の題目を刻んだということで、やまぐち館オフィシャルサイトによるとその大きさは周囲25mの大きさを誇るとか。自然石に刻んだ題目としては日本最大級だという情報もどこかで目にした気も…

で、入って来ましたよ題目露天風呂。
風呂の中の画像はやまぐち館のオフィシャルサイトからご覧下さい。あ、おねいさんの入浴風景は写ってませんのであしからず。
あつ湯が好きな方はぜひ行くべきです。
宿泊しなくても、立ち寄り湯だけのご利用も可能です。
なお、午前中は男湯、午後は女湯になるそうですのでご注意くだされ。


さて。
ここで四万川ダムオフィシャルな話題になります。
四万川ダム工事誌を見ると、洪水史で触れた昭和10年の水害がクローズアップされています。
以下に全文を引用します。

四万川沿川の上流地域の四万温泉は、河川に沿って旅館が林立していることにより、過去において、昭和10年9月、昭和23年9月、昭和24年8月と連続して台風被害に見舞われ、特に昭和10年9月の台風による被害はひどく、死者64名、流失家屋61戸、その他橋梁流失、道路決壊等甚大な被害を被った。また、昭和40年9月、昭和56年8月にも出水による被害を受けている。」
昭和10年の洪水による被害は、昭和57年の物価に換算するとその被害総額が56億6519万7千円に相当するるとか。

「しかしながら、当該河川上流域の左右岸には温泉旅館が近接しているとともに河床部には温泉源泉脈があるため大規模な河川改修ができず、局地的な災害復旧が実施されるのみであり、抜本的な治水対策が急務とされている。」
しかし、四万温泉の源泉は、そのほとんどが河床にあるのです。
護岸整備でこれを失うわけにはいかず、大規模な改修もできないままでした。

一説には、四万温泉の年間観光客数は50万人といわれます。
東京ディズニーリゾートの年間のべ来場者数は約2500万人といわれ、そういうとんでもない数字とは比べるべくもありませんが、コンビニもない、繁華街もないただの温泉として考えると、日本最強の温泉といわれる草津温泉の年間300万人、伊香保温泉の120万人と比較しても、そこそこ凄い人数ではないでしょうか。
上州三大温泉だけで年間500万人弱をかき集めるとは、さすが群馬!(注)

しかし局地的な災害復旧しか行えないということは、もしも昭和10年レベルの水害が発生したら、温泉旅館もろとも観光客も被災する可能性があるわけです。
年間50万人。
温泉を楽しみにやって来るそれだけの人数を危険に晒したままではよくない!と考えたのはきっと、温泉協会も中之条町も、そして群馬県も同じだったのに違いありません。

ついにこのような決定がなされます。
「このため、ダムを築造し洪水調節するものである」


そう、四万川ダムはまさに、四万温泉のために作られたダムなのです。



注:草津温泉といえば知らぬものなき日本最強温泉にして、仁義なき温泉まんじゅうの覇権争い(本家だの元祖だの、温泉饅頭屋の接頭語がすごいことになっているw)の舞台としても有名ですが、草津温泉はどこにあるか?と聞くと「群馬県」と答えられる人はガクンと減るのだそーで…
長野五輪にも出場したノルディック複合の荻原健司、次晴兄弟は草津温泉のある草津町の出身なんですってば。
みなさーん!草津も伊香保も四万も、群馬なんですよー!


posted by 夕顔 at 11:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ダム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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