暑い。暑すぎる。
で、天端上で水位の説明とインクラインの説明を受けたのですが、ここでアクシデント発生。
見学に合わせてインクラインのシャッターを開けておいてくれる手はずだったらしいのですが、それが開いてない…
「あー、開いてないので次行きますね」と案内の人も華麗にスルー。
えー。見せてくれないのー?
ちなみにこの日の水位はEL729.0m。
洪水期制限水位より50cm高い水位ということで、常用洪水吐から放流中です。
でも、夏の四万川ダムって水が少ないんですよね。
常時満水位がEL751.50mですから、普通に考えて夏は23mも水位を下げてるわけで。
せっかく青い綺麗なお水なんだから、いっぱい貯めておけばいいのにと個人的には思ったりもしてました。
少なくとも、この時点では。
天端には地元小学生の描いた陶版画。
いや、いいんだけど。
地域に開かれたダムの指定を受けている所って、ここといい浦山といい、どーして妙なゲージツ作品やら子供の絵やら飾りたがるんですかね。
もしかしてそういう仕様なんですか?地域に開かれたダムはこれこれこういうものを飾らないといけない、とかいうような。
親近感を持たせる効果を狙っているのなら、もっと違う方法があると思うんですよね。
でも天端にうちの子の絵が飾ってあったら、きっと母親としての自分は狂喜乱舞する。それは間違いない。
えーっと。
それ、なんてダブスタ(笑)
閑話休題。
天端から今度は管理事務所に向かいます。
上流面左岸に、四万川ダム管理事務所はあります。
そこの2階でダムの概要についての説明を受けたのですが。
度肝を抜かれた、と申し上げたらいいのか
水もっと貯めてとか思ってた自分を殴りたくなったと言えばいいのか。
ダムの直下流に著名な温泉地・四万温泉を抱えるこの四万川は、利根川の支流らしく(と言ったら語弊があると思いますが)、暴れ川でした。
過去に何度も水害に見舞われ、そのたびに家屋の損壊や怪我人、時には死者すらも出ていたのです。
利根川水系流域と荒川水系流域に壊滅的な打撃を与えた昭和22年のカスリーン台風は言うに及ばず、昭和10年9月の台風では四万川流域だけで64人の死者を出したとのこと。
近年でも昭和56年8月、57年8月、63年8月、平成元年7月に台風や豪雨による水害が発生しました。
管理事務所で1枚のパネルを見せていただきました。
それは、昭和56年8月23日の台風15号によっておこされた水害の写真。
酸性度が高いため植物プランクトンが少なく、それゆえに美しい青さを誇る四万川の水が。
あの青さの面影すらない茶色い濁流となって住宅地を襲っていました。
この台風は、床下浸水487戸 床上浸水17戸 流失全壊3戸という被害を出し、農地13.33haが冠水しました。
被害総額は中之条町全体で14億5千万円に上ったそうです。
暴れ川故、何度も河川改修計画が出たものの、上流部に四万温泉街を抱えているため大規模な改修ができず、治水目的でダム建設という手段が選択されたとのこと。
だから、あれだけ水位を下げてるんですね。
下げねばならないんですね。
美しく流れる減勢工は、もしかして地元が「こうあってほしい」と望む四万川の姿そのものなのかもしれないとふと思いました。
もしもそうなら、四万川ダムのデザインもまた、地元の方々の祈りの姿。
暴れ川ではなく、水の恵みを齎す川であってほしいという祈り。
もう二度と水害が起こってほしくないという祈り。
そして、ダムは流域を守る城砦であってほしいという祈り。
それらを具現化したのが四万川ダムサイトの姿なのではないでしょうか?
妄想です。
どう考えても妄想です。
でも、写真を見ながらそう考えたら涙が出てきてしまいました。(思い込み強すぎです)
ダムは景観を破壊するという批判があるのは知ってる。
ちょっと前にプチ炎上したブログで、ダムが好きだというのは本当に美しいものがどんなものか知らないか想像力が貧困だからだとか何とか言う主張がなされていたのも承知してる。
じゃあ聞きたいんだけど、景観が良ければそれでいいのですか。
景観破壊って言葉でダムのすべてを無力化できると思わないでください。
そこにあるダムは、今も粛々とダムが任された仕事をしているのです。
私に言わせてもらえば、景観破壊だと一義的に断じてしまうことのほうがよほど破壊的な言動です。
個人的に盛り上がってしてしまった説明の後は、お楽しみの堤体内見学。
数十mを階段で下る、膝関節と大腿四頭筋を破壊せんばかりのコースでした。
すげえ急階段でございましたですよ。
そして階段中程に、こんな張り紙が。
「洪水期制限水位
(7月〜9月)
728.5m」
つまり、この張り紙以下、壁の向こうは青い水。
そしてさらに階段は下るのです。
ここは、水の中なんだと思うと非常に不思議な気持ちでした。
それにしても階段が急。
しかも下り。一段の高さも結構あります。
写真に写ってますが、お子さん抱えて階段下りをしていたお父様もいましたが…他人事ながら、翌日あたり筋肉痛は大丈夫だったのかとちょっと心配です。
疲労が足に来ると、そもそも腕のない私に、ろくな写真が撮れるはずはありません。
プラムライン、漏水量計などの写真を撮りまくっていたのに、使い物になるのが一枚もないという有様。
疲れてても撮りたいものを撮りたいように表現できるカメラが欲しいよう、ど●えもーん。
(そんなのないってば)
ということで、堤体内見学は私的にグダグダに終わりました。
もうすこしきちんと写真が撮れないと、伝えたいもんがちゃんと伝わらないよなーと反省しています。
やっぱ、ちゃんと写真の勉強しようっと…
今度いかがですか?
そこいらの居酒屋でも。